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ウィスット・ポンニミット

藤村龍至 / FUJIMURA Ryuji
東洋大学理工学部建築学科専任講師。藤村龍至建築設計事務所代表。 1976年東京生まれ。2008年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年より藤村龍至建築設計事務所主宰。2010年より東洋大学専任講師。2007年よりフリーペーパー『ROUNDABOUT JOURNAL』企画・制作・発行。2010年よりウェブマガジン『ART and ARCHITECTURE REVIEW』企画・制作。主な建築作品に「BUILDING K」(2008)「東京郊外の家」(2009)。主な編著書に『1995年以後』(2009)。主なキュレーションに「超都市からの建築家たち」(2010)「CITY2.0」(2010)。

Q1. あなたにとってもっとも忘れがたい映像はなんですか?
A. 1985年8月の日航機墜落事故現場の空撮映像です。レーダーから機影が消えたというニュース速報が流れ、情報が錯綜した後、群馬県の山中で飛行機が墜落したことが判明しましたが、翌朝のニュースで流れた、煙が立ち込める墜落現場の様子があまりにも生々しかったことを覚えています。

Q2. 忘れがたい映像について理由を教えて下さい
A. 国内では最後の大規模な飛行機の墜落事故です。それまでは国内でも頻繁に事故が起こっていた記憶がありますが、大規模な墜落事故は1985年を最後に起こっていません。それゆえに強烈な記憶となっています。
それから10年後、倒壊した高速道路の橋脚を空撮した映像を眺めた時も、それからさらに6年後、砂嵐の向こうに超高層ビルに続々と突入する飛行機の映像をノイズだらけのカーナビで見たときも、とても驚きましたが、いつも日航機墜落事故の衝撃に立ち返るような気がします。
飛行機事故は近代社会の安全神話がもろくも崩れる瞬間を見せつけるものであり、その後の大震災やテロ、津波の映像を経験してもなお、近代的な空間の「底が抜ける」ような瞬間の恐怖が忘れられません。

Q3. あなたにとって「まだ見ぬ」映像とはなんですか?
A. 福島第一原子力発電所周辺地域の映像でしょうか。今でも立入禁止となっている一部の地域では、発災後、時間が止まったままとなっています。私たちの社会は、時間を止めるような災害はこれまであまり経験していません。その映像は再び私たちに衝撃を与え、近代化のプロセスを経た日本における社会システムのあり方について、大きな問いかけをするものであろうと思われます。

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