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ウィスット・ポンニミット

柳下美恵 / YANASHITA Mie
サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学器楽科(ピアノ専攻)卒業。1995年、朝日新聞社主催の映画生誕100年記念上映会でデビュー以来、国内外の映画祭、上映会で公演。第3回恵比寿映像祭では『限りなき舗道』を伴奏。㈱紀伊國屋書店クリティカル・エディション・シリーズのDVD『裁かるるジャンヌ』『魔女』の音楽を担当。2006年度日本映画ペンクラブ奨励賞受賞。NPO法人 映画保存協会正会員。
http://homepage3.nifty.com/yanasita/miespick.html

Q1. あなたにとってもっとも忘れがたい映像はなんですか?
A. この原稿を書いている時点(2011月11月14日)で浮かぶのは、『仮面の忍者 赤影』、『コメットさん(九重佑三子主演)』、『傷だらけの天使(萩原健一主演)』、『ディア・ハンター』、『浮雲(成瀬巳喜男監督)』、『第七天国』、『裁かるるジャンヌ』、『愛よ人類と共にあれ』、『折鶴お千』、『東への道』、『teleco-soup(てれこスープ)』、『Crash- Passive Interview』、“3.11東北大震災の津波、福島原発の爆発後の映像”、“9.11旅客機がビルに突入する映像”、“アウシュヴィッツ収容所で丸裸にされた女性たちが野外に並ばされている映像”、思い出すと次々と浮かぶので、「もっとも忘れがたい映像」はありません。ドラマ(フィクション)の中では自分の成長に伴う思い出の中で、テレビ番組が印象に残っています。
大人になって、映画館で見たり自分が弾いた映画は上記に限らず印象に残っているのですが、現実に起っている衝撃的な映像は忘れがたい映像です。

Q2. 忘れがたい映像について理由を教えて下さい
A. 『仮面の忍者 赤影』『コメットさん』は、幼い時分に見ました。夢で登場人物の一人になって登場! 戦い、敵を倒しドラマを追体験しました。
『傷だらけの天使』は思春期、親に隠れて盗み見ました。ストリッパーや麻薬中毒患者など小学生には刺激が強過ぎる映像を親には知られたくないスリルと共に思い出す、忘れがたい映像です。
『ディア・ハンター』はテレビで見ましたが、クリストファー・ウォーケン演ずるアメリカ兵がベトナムで狂っていく姿に打ち震えました。
『浮雲』は今は無き銀座の並木座で見た映画で、この男女像は今も憧れです。
『第七天国』『裁かるるジャンヌ』『愛よ人類と共にあれ』『折鶴お千』『東への道』はサイレント映画伴奏を志してから見た映画で、とくに伴奏をしながら見る映像は、難しさはあるものの、かけがえのない時間です。
『てれこスープ』『Crash- Passive Interview』は今年の第54回ヴェネチア・ビエンナーレで見ました。『てれこスープ』は日本館の束芋の作品で映像に包み込まれるような感覚が忘れられません。
http://www.art-it.asia/u/admin_ed_exrev/kiYxBhvrqjNme7DMGSfc/?lang=ja
『Crash- Passive Interview』は建物も素敵なハンガリー館で見ました。インタビュアーも答える人も言葉はすべてメロディに乗って歌われ、思わず苦笑してしまう体験したことのない心地よさでした。

Q3. あなたにとって「まだ見ぬ」映像とはなんですか?
A. 「未だ見ぬ」映像……時間が無限であれば、新作旧作、有名無名、フィクションノンフィクションを問わず、すべてを見てみたいです。しかし出会えるものには限りがあります。その中で選ぶとすれば下記でしょうか。
“体験したことのない方法論を試みている映像”、“そのときの自分に必要で共感できる映像”、“あの世に渡るときに浮かぶ映像”

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