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髙山宏

髙山宏 / TAKAYAMA hiroshi
1947年生。明治大学国際日本学部教授。建築、美術、文学、文化史、思想史、哲学、科学などを自在に横断する批評家・翻訳家。著書=『アリス狩り』(青土社、1981)、『目の中の劇場』(青土社、1985)、『メデューサの知』(青土社、1987)、『庭の綺想学──近代西欧とピクチャレスク美学』(ありな書房、1995)、『綺想の饗宴』(青土社、1999)、など。訳書=デレック・ハドスン『ルイス・キャロルの生涯──不思議の国の数学者』(東京図書、1976)、タイモン・スクリーチ『江戸の身体を開く』(作品社、1997)、バーバラ・M・スタフォード『アートフル・サイエンス──啓蒙時代の娯楽と凋落する視覚教育』 (産業図書、1997)、同『ボディ・クリティシズム──啓蒙時代のアートと医学における見えざるもののイメージ化』(国書刊行会、2006)など。

Q1. あなたにとってもっとも忘れがたい映像はなんですか?
A. 甲乙つけがたいまま3つ。面白いことにどうやら全て1957年(プラマイ1年)。ぼく10才。南国高知の強い光のせいかも。
1)薄暮澄空行く人工衛星スプートニク光跡
2)ぼくの「ウィタ・セクスアリス」 初めて直面した他家女性裸身と闇中欲動
3)高知物部川付近某所の緑蔭魔景
具体的な映像というよりそうした映像を次々展開してくれる器具としてのコンタクト・レンズ初めての装着。それで見た虹色の水滴。

Q2.  忘れがたい映像について理由を教えて下さい
A. 生れつき盲目に等しい状態なのですがこの3つは強烈に記憶に残っています。3)については説明が必要かも。それからすぐ南国市という名に変ってしまう当時後免(ごめん)といった高知市近辺の田舎。母親の友人宅あり、夏休み昆虫採集に行って一種〈トトロ体験〉をしたのですが、ひとり迷いこんだ緑蔭清流に、アオスジアゲハ、ミカドアゲハ、何種ものイトトンボが遊び、子供ながらその甘い芳香、鱗翅の百宝色に言葉を失った夢の楽園。

Q3. あなたにとって「まだ見ぬ」映像とはなんですか?
A. 1)天使の乱舞。端的に『神曲』天堂篇幕切れ。マニエリストの救済。
2)乱歩『鏡地獄』の主人公が見て狂死をとげたその映像。マニエリストの「地獄」。

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