上映

オーストラリア・アートフィルム史

アザーフィルムは、オーストラリア・アヴァンギャルド映画の歴史と現状を概観する2つのコンピレーション・プログラムを上映。不規則に明滅する栄光に彩られたアヴァンギャルド映画の全容を紹介する。 オーストラリア・アヴァンギャルド映画史の特徴は、風景、疎外、知覚といった主題の形式的追求にある。作品自体は同時代の欧米の映画作家たちと交流があったものの、実験映画作家の多くは外界から隔絶された環境で制作を行ない、スプリットスクリーン、マット処理、オプチカル・サウンド、コラージュアニメーション、カラー分解などの光学的技術を使って高度な実験を行なってきた。風景や形式的前提を出発点とする本プログラムの作品には、60年代初頭から90年代にかけてのオーストラリア・アヴァンギャルド映画の特徴であるイコン的美学や革新的なアプローチが反映されている。

プログラミング

アザーフィルム、ブリスベーン

プログラマー

ジョエル・スターン ダンニ・ズヴェラ サリー・ゴールディング

ジャンル

上映

場所

1F

作品図版/画像
ドゥサン・マレク《アダムとイヴ》
1962年/16mmフィルム、カラー、サウンド/10分/オーストラリア
作品図版/画像
デヴィッド・ペリー(ユビュフィルム)《ハーフトーン》
1966年/白黒、オプティカル・サウンド/1分/オーストラリア
作品図版/画像
アルビー・トマス《男と彼の世界》
1966年/カラー、サウンド/1分/オーストラリア
作品図版/画像
アーサー&コリーヌ・カントリル《4,000フレーム、目を見開かせるフィルム》
1970年/白黒、サウンド/3分/オーストラリア
作品図版/画像
ポール・ウィンクラー《ボンディ》
1979年/カラー、サウンド/15分/オーストラリア
作品図版/画像
ジョージ・ジットーズ《虹の道》
1977年/カラー、サウンド/11分/オーストラリア
作品図版/画像
アーサー・カントリル&コリーヌ・カントリル《滝》
1984年/カラー、サウンド/18分/オーストラリア
作品図版/画像
ディルク・デ・ブリュイン《光のたわむれ》
1984年/16mmフィルム/7分/オーストラリア
音楽:マイケル・ラック
作品図版/画像
レゴリー・ゴッドハード《マインズ・アイ》
1998年/カラー、サウンド/5分/オーストラリア

作家・プログラマープロフィール
ジョエル・スターン

プログラマー/ジョエル・スターン
ブリスベン在住のサウンド・アーティスト、研究者、キュレーター。オーストラリアの実験・前衛芸術の育成に重要な役割を果たす。メルボルン大学アジアリンク財団の在外研究助成金により来日。

ダンニ・ズヴェラ

プログラマー/ダンニ・ズヴェラ
実験メディア研究者、キュレーター、アーティスト。専門は、オーストラリア・アートフィルム史と拡張映画。

サリー・ゴールディング

プログラマー/サリー・ゴールディング
フィルム・アーティスト。映画の収集・保存でも活躍。映画、インスタレーション、拡張映画パフォーマンスを制作。

ドゥサン・マレク

作家/ドゥサン・マレク
ドゥサン・マレク(1926‐1993年)は、絵画と同様に映画制作にあたっても、完全に外部の影響から自由になる必要があると信じている。映画制作のスタイルも例外ではない。マレクはフィルム・メディアで創作することをモノと戯れる子供にたとえる。すでにモノになじんでいるほかの子供に影響されることなく、モノの特徴を新たに見出すのである。

デヴィッド・ペリー(ユビュフィルム)

作家/デヴィッド・ペリー(ユビュフィルム)
1933年生まれ。オーストラリアの写真家・映画作家。シドニー在住。1965年7月、アントナン・アルトーの『残酷劇』のシドニー公演に関わったことから、アルビー・トマス、ジョン・クラークとともに、ユビュ・フィルム(Ubu Films、アルフレッド・ジャリの不条理劇『ユビュ王』にちなんだ名前)を結成。ユビュ・フィルムは、オーストラリアではじめて意識的に前衛的手法をとりこんだ映画制作集団。

アルビー・トマス(1941─)

作家/アルビー・トマス(1941─)
略歴:1941年生まれ。1960年代のユビュ・フィルムの成功そしてオーストラリア実験映画という遺産はトマスの存在に多くを負ってる。アヴァンギャルド映画制作を強力に推進。アヴァンギャルド映画の共同支援ネットワークを設立し、非コマーシャルベースでの制作、配給、上映を行なう。

アーサー・カントリル、コリーヌ・カントリル

作家/アーサー・カントリル、コリーヌ・カントリル
アーサー・カントリルは1938年、コリーヌ・カントリルは1928年生まれ。1960年以来共同で映画制作を行なう。作品を通じて、フィルムの光化学的特性、知覚の詩学【知覚の詩学:ルビ:ポエテイクス】、オーストラリアの風景を追求する。「ライブ」映画と「拡張」映画の双方で膨大な作品を制作し、アヴァンギャルド映画雑誌『カントリル・フィルム・ノーツ』(1971-2000年)を刊行。高い評価を受け、国際的にもオーストラリア芸術の「長老」として知られる。

ポール・ウィンクラー

作家/ポール・ウィンクラー
1939年、ハンブルク生まれ。1959年にオーストラリアに移住。以来ユニークな作品を大量に制作。マットショットや再撮影といった特殊な映像効果の使用がじつにユニークな合成画像をもたらし、時間と空間を脱構築する。ウィンクラーはオーストラリアの主要芸術機関で個展が開催される唯一の映像作家。彼のフィルムは海外の主要美術館でもよく上映される。

ジョージ・ジットーズ

作家/ジョージ・ジットーズ
1949年生まれ。シドニーで活躍するジョージ・ジットーズはオーストラリアの重要なアーティストのひとりに数えられ、戦争芸術家としても、また社会派ドキュメンタリー作家としても名声を博す。1970年代後半から80年代初頭にかけ、ホログラフィ、水中撮影、そしてパフォーマンスとダンスと上映からなるマルチメディア環境など、映像を使用した独創的なアプローチを追求した。

ディルク・デ・ブリュイン

作家/ディルク・デ・ブリュイン
1950年オランダ生まれ。過去35年間に多数の実験映画、ドキュメンタリー、アニメーションを制作。国際的な映画祭やヴィデオアート祭でプログラム・ディレクターとして活躍。活発な批評活動も行なう。近年、マルチスクリーン上映、即興ヴォーカル、ライブパフォーマンスなど、独創的な拡張パフォーマンスで国内外の注目を集める。

グレゴリー・ゴッドハード

作家/グレゴリー・ゴッドハード
「1966年、シドニー生まれ。アニメーション作家、実験映画作家、アーティストとして相変わらず(間違って)活動を続ける。これまでに12本の16mmフィルムの製作、監督、アニメーションを手がけた。国際的な映画祭などで頻繁に上映され、たまには賞を取って、ヘンテコなトロフィーをもらったりする」──GG

上映日時

2009年02月22日(日) 19:00~

上映情報

協力:国立フィルム・アンド・サウンド・アーカイヴ、オーストラリア http://www.nfsa.gov.au/
ゲスト・トーク:2009年2月22日(日)19:00~ ジョエル・スターン、ディルク・デ・ブリュイン

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