追悼・ブルース・コナー 視覚の残光
視覚的コメディ、終末的主題、社会派批評という一連の作品によって、映画の伝説ともなったブルース・コナー(1933─2008年)はさまざまな世代の実験映画作家を刺激しつづけ、ポップ・カルチャーに影響を与えている。先駆的作品《A Movie》(1958年)で、コナーが「フィルム・アッサンブラージュ」という新ジャンルを創設したとき、映画界と音楽界はこぞって、離れ業のような、矢継ぎ早の編集技術に喝采を博した──希薄化された模倣品が後にMTVで勢力をふるうことになる。表面処理はクリシェと化したとしても、視覚的・概念的内容はユニークでありつづる。コナー的美学は固有名を超え、アートとフィルムの一部と化した。宗教的、政治的、終末的イメージの盗人と自ら主張したように、コナーは映像メディアのイマージュとイデオロギーをともに破壊する。
プログラマー
ミシェル・シルヴァ(ブルース・コナー・フィルムエステート・マネジャー)
ジャンル
上映
場所
1F
作家・プログラマープロフィール
プログラマー/ミシェル・シルヴァ(ブルース・コナー・フィルムエステート・マネジャー)
映画作家・編集者。ブルース・コナー、サウンド・アーティストの大友良英、キャニオンフィルム設立者のブルース・バイなどのフィルム、インスタレーション、デジタル復元に協力。現在、ブルース・コナーのフィルム遺産管理を行なうかたわらアヴァンギャルド映画配給会社キャニオン・シネマの取締役2期目を務める。
作家/ブルース・コナー
ブルース・コナー(1933-2008年)は、1958年に最初の映像作品である「ある映画(A Movie)」を、当時一般的に撮影されていた家族や友人との日常を撮影したプライヴェート・ムーヴィーのフィルムの切れ端をつなぎ合わせて制作した。ファウンド・フッテージ技法の嚆矢と称されるこの作品にはコナーの卓越したモンタージュ技術が見てとれる。映像のコラージュともいえるこの技法はすでにコラージュによる立体作品の制作を始めていたコナーにとって、当然の選択であったのかもしれない。
一部にはきわめて熱心な支持者がいながら、美術史的にはあまり高評価を得ていなかったが、1999年から2000年にかけてウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)を皮切りに大規模な回顧展「コナー以前2000年 ブルース・コナー物語第2部」(他)が開催され、徐々に再評価の兆しが見えた。没後はこれまでの活動の再検証が期待される作家である。
上映日時
2009年02月21日(土) 19:00~
上映情報
協力:コナー・ファミリー・トラスト
コナー・ファミリー・トラストはブルース・コナーのアート作品とフィルムの上映、展示、保存、復元管理を統括する団体。世界各地でトリビュートや回顧展が開催され、コナーの非凡な人生と幻視的な作品を紹介。
ゲスト・トーク:2009年02月21日(土) 19:00~ ミシェル・シルヴァ