上映

三宅流《究竟の地 岩崎鬼剣舞の一年》ドキュメンタリー  [愛知芸術文化センター制作オリジナル映像作品傑作選]

愛知芸術文化センターが、毎年、「身体」をテーマに気鋭の映像作家に委嘱して制作する映像作品シリーズからのセレクション。岩手県北上市の農村地域、岩崎に取材し、同地に古くから伝わる民俗芸能「岩崎鬼剣舞」(国指定重要無形民俗文化財)をめぐる営みを追ったドキュメンタリー。踊り手の多くは兼業農家の大工や職人たちだが、妻も子供も、老いも若きも、それぞれに踊りに関わり、役割を担い支え、時に共に舞う。子供たちは、物心つく前から鬼剣舞に親しみ、成長し共同体をはなれていても、ひとたび囃子が鳴れば自然に体が動く。地域そのものが、鬼剣舞を中心に回っているかのような岩崎の1年を丹念に取材したカメラは、少子化による地元小学校の閉校、庭元(家元にあたる)の代替り、大師匠の死を悼んでの弔いの舞にも立ち会い、そこに生きる人々の姿を追い続ける。移りゆく時代のなかにあって、伝統芸能としての舞踊を継承することで共同体の記憶を身体に刻み、培われ充足される生の貴重な記録であるとともに、常に都市の目線で語られてきた「芸術論」に対するカウンターとしても、見る者の心を打つだろう。

プログラマー

岡村恵子(恵比寿映像祭ディレクター/東京都写真美術館学芸員)

ジャンル

上映

場所

1F

作品図版/画像
三宅流《究竟の地 岩崎鬼剣舞の一年》
2008/DV、カラー、サウンド/161分/日本
制作:愛知芸術文化センター/監督:三宅流
ナレーション:豊川潤/整音:種子田郷
出演/協力:岩崎鬼剣舞保存会ほか

作家・プログラマープロフィール
岡村恵子(恵比寿映像祭ディレクター/東京都写真美術館学芸員)

プログラマー/岡村恵子(恵比寿映像祭ディレクター/東京都写真美術館学芸員)
恵比寿映像祭ディレクター/東京都写真美術館学芸員。東京都現代美術館学芸員を経て2007年より現職。「MOTアニュアル2000 低温火傷」(2000年)、「転換期の作法 ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの現代美術」(2005‐06年)、「大竹伸朗 全景 1955‐2006年」(2006年)などの企画に携わる。昨年、プレ・イヴェントとして手掛けた「映像をめぐる7夜」(2008年)をふまえ、恵比寿映像祭を立ち上げる。

三宅流

作家/三宅流
1974年生、東京都在住。身体表現をモチーフにした《蝕旋律》、フランスの思想家モーリス・ブランショから着想を得た沈黙劇《白日》等がイメージフォーラムフェスティバル、モントリオール国際映画祭等で受賞、招待されるなど、国内外で広く紹介される。近年はドキュメンタリー映画製作に力を入れ、22歳の面打師、新井達矢がひとつの能面を彫り、能公演に使用されるまでを追った《面打》は広く上映され、高い評価を得ている。

上映日時

2009年03月01日(日) 12:00~

上映情報

協力:愛知芸術文化センター、名古屋
ゲスト・トーク:2009年3月1日(日)12:00~ 三宅流

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