小瀬村真美
KOSEMURA Mami
1975年神奈川県生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。現在は東京を拠点に制作活動を行う。主な展覧会に「セゾンアートプログラム アートイング東京2001」(旧新宿区立牛込原町小学校)「MOTアニュアル2004」(東京都現代美術館)「日本×画展」(横浜美術館)「奇器借景」(Yuka Sasahara Gallery)などがある。この他国内外の映画祭の上映にも数多く参加。
「映画」と「絵画」の境界線上で
「絵画は静止画なのだろうか。そして映画の画面は(いつも)動いているのだろうか。 記憶は現在の感覚が作り上げるものだ。記憶のイメージは、絵筆を握った画家の身体によってたえまなく編集され続け、キャンバスに移される。鑑賞者もまた、その場の音響も含め、瞬きと意識/無意識による編集を行い、画との間にイメージを組み立てる。時代によって、編集の形、記憶は異なり、我々は描かれた時代の鑑賞者とは異なった絵を見ているのだ。 映画史の最初に位置する「列車の到着」は、30秒ほどの時間の始まりと終わりでは、まったく異なった絵がそこにある。1895年の観客は驚いて眼を見開き、2枚の絵とその間の変化を身体で受け止めた。日常的なものがレンズによって見知らぬものとして現われる。多数の観客がそれを受け止める体験の始まり、観客が瞬きと意識による編集によって個別の映画を作り上げる歴史の始まりとなったのだ。 そして百年。スクリーンには、ときに、巨大な軍勢の「図」をデータとして増幅させた、ただ凡庸な画面も現われる。これはむしろ「停止」した画面だろう。 8ミリや35ミリのフィルム画面から、携帯電話のデジタルディスプレーまで、動きを豊かにはらむスリリングな「静止」を含むあらゆる絵について、「動く」ということはどういうことなのか、「描かれる時間」とは何かを考えたいと思ってこのプログラムを組みました。
ジャンル
上映
場所
1F
上映日時
2009年02月28日(土) 19:00~