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樋口源一郎(1906-2006)

HIGUCHI Gen’ichiro

若い頃は画家を目指すが、寺田寅彦の影響で科学と芸術の結びつきに関心を抱いて映画界に入る。2001年の《きのこの世界》に至るまで、90歳代後半まで60年以上にわたり現役の映画作家として活動した。とりわけ微生物を生涯のテーマとし、未知の領域に微速度撮影で迫る「映像論文」は世界的な評価を得ている。 写真提供:石井董久

上映

科学映画の愉しみ

映画の世界には、産業としての中核をなすフィクション映画の陰にノンフィクション映画というジャンルがあり、さらにその支流として、ささやかだが伝統のある科学映画という分野が存在する。マイブリッジの連続写真の例を出すまでもなく、映画はその原初期から科学と強い結びつきを持っており、また、時代ごとの研究の進展に応じて科学映画は新しい知見を画面に収めていった。だが、現代の人間にとって過去の科学映画はどのような意味を持つのだろうか? 時代が変わると、もはや価値の見出せない無用の長物になるのだろうか? このプログラムはそのような実用主義の行き過ぎに抵抗する。時代の“眼”は、しばしば時代の“美”を捉えているものである。ここに選ばれた4作品は、高校の理科でいえば「物理・化学・生物」の3分野を扱ったことになり、また国籍としても3か国にまたがることになる。だが、いずれも自然や人工物がその意図を超えて私たちの前に提示してしまう“美”という問題に無自覚ではいられなかった人間の仕事である。もとより科学は撮られるために存在するのではない。にもかかわらず、これまで脈々とキャメラの介在を要求してきたのは、人間以上に科学の側ではなかったか。そう考えさせてくれるほど、優れた科学映画は現代の人間にも愉しみを与えてくれている。

ジャンル

上映

場所

1F

作品図版/画像
マルティン・リクリ《レントゲン線》
1937年/35mmフィルム、白黒、サウンド/18分/ドイツ(日本語字幕版)
監督・脚本:マルティン・リクリ 構成:ニコラス・カウフマン 製作会社:ウーファ文化映画部 
提供:東京国立近代美術館フィルムセンター

作品図版/画像
ジャン・パンルヴェ《アセラ、または魔女の踊り》
1972年/35mmフィルム(DVD上映)、カラー、サウンド/13分/フランス/フランス語(日本語字幕付き)
監督:ジャン・パンルヴェ、ジュヌヴィエーヴ・アモン/音楽:ピエール・ジャンセン
提供:ドキュマン・シネマトグラフィック
作品図版/画像
竹内信次《潤滑油》
1960年/35mmフィルム、カラー、サウンド/25分/日本
製作者:岡田桑三/脚本:吉見泰/撮影監督:小林米作/演出:竹内信次
撮影:加藤和三、長谷川博美、豊岡定夫 
音楽:池野成/解説:杉山真太郎/企画:丸善石油(現コスモ石油) 
製作会社:東京シネマ/提供:東京シネマ新社・東京国立近代美術館フィルムセンター
上映日時

2009年02月21日(土) 13:30~
2009年02月25日(水) 19:00~

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